“重(し)” の例文
沫雪(あわゆき)のほどろほどろに零(ふ)り重(し)けば平城(なら)の京師(みやこ)し念(おも)ほゆるかも 〔巻八・一六三九〕 大伴旅人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
不二ヶ嶺にいや重(し)きつもる堅雪(かたゆき)のゆふべはあかく天(あめ)に燃えつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あらたしき年(とし)の始(はじ)めの初春(はつはる)の今日(けふ)降(ふ)る雪(ゆき)のいや重(し)け吉事(よごと) 〔巻二十・四五一六〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
巻きなだりいやつぎつぎに重(し)き層(かさ)む波の穂冥(くら)し海豹(あざらし)の顔
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「いや重(し)け吉事(よごと)」は、益々吉事幸福が重なれよというので、名詞止めにしたのも、やはりおのずからなる声調であろうか。また、「吉事(よごと)」という語を使ったのも此歌のみのようである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)