遮二無二しやにむに)” の例文
ムキに男に抵抗して遮二無二しやにむに鎖を引きちぎられた時、女は投げ出すやうにかう云つて男を睨んだ。それは古い南蛮渡りのこんたすであつた。
間違まちがつたことはしてないとめてりましたから、すべての衝突しようとつ旦那だんなさまのおこゝろひとつからおここととして仕舞しまつて、遮二無二しやにむに旦那だんなさまをうらみました
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、いくら探して見ても、山鴫やましぎ屍骸しがいは見つからなかつた。ドオラも遮二無二しやにむに駈け廻つては、時々草の中へたたずんだ儘、不足さうに唸るばかりだつた。
山鴫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いきり立つたるビエルヂバブには、遮二無二しやにむにヴィオロン掻きめさる!
やまくもなかぼくくものぼつもりで遮二無二しやにむにのぼつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
新公は打たれても、引つ掻かれても、遮二無二しやにむにお富をぢ伏せようとした。しかし何度か仕損じた後、やつと彼女に組み付いたと思ふと、突然又はじかれたやうに、水口の方へ飛びすさつた。
お富の貞操 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)