軼事いつじ)” の例文
ゆゑ其傳そのでん(六六)ついづ。其書そのしよいたつてはおほこれり。ここもつろんぜず、その(六七)軼事いつじろんず。管仲くわんちう所謂いはゆる賢臣けんしんなり。しかれども(六八)孔子こうしこれせうとす。
わたくしは榛軒軼事いつじ中飲饌の事を記して其半に至つた。剰す所は豚料理の話があり、又鰻飯の話がある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
たちまちニシテ経典ヲ弁証シ忽ニシテ舛漏せんろう穿鑿せんさくシ忽ニシテ名物ヲ考訂シ忽ニシテ軼事いつじ異聞ヲ鈔録ス。たとうレバ山陰道中峰ヲ廻リ路ヲ転ジ歩々観ヲ異ニスルガ如シ。近日余病ニス。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
榛軒の軼事いつじ中わたくしは次に講学の事を書く。しかし其受業の師は前に載せたから今省く。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
北条霞亭が京都に遊学した第二年、寛政十年には猶霞亭の筆にのぼつた一条の軼事いつじがある。それは皆川淇園が歿してから一年の後、文化五年戊辰十一月に記して、後渉筆中に収めたものである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)