裸木はだかぎ)” の例文
など云うたぐいかえで銀杏いちょうは、深く浅く鮮やかにまたしぶく、紅、黄、かちあかね、紫さま/″\の色に出で、気の重い常緑木ときわぎや気軽な裸木はだかぎの間をいろどる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ここは江戸表——お茶の水の南添いに起伏している駿河台するがだいの丘。日ごとに葉をもがれてゆく裸木はだかぎは、女が抜毛ぬけげいたむように、寒々と風に泣いている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
堤には太鼓橋たいこばしになった石橋がところどころにかかって裸木はだかぎの柳の枝が寒そうに垂れていた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
高い裸木はだかぎに、果実のやうに止まつてゐた、鴉の集団を見あげたことがある、どの鴉もみな、あるきまつた間隔の距離に、ひつそりとした沈思を続けてゐるすがたが、いかにも暗示的で可愛らしい。
立ちほそり寒き木ゆゑに裸木はだかぎ霜朝しもあさの空に末光るなり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
春浅しここの丘辺をかべ裸木はだかぎの桜並木なみきあゆみつつかなし
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
立ちほそり寒き木ゆゑに裸木はだかぎ霜朝しもあさの空に末光るなり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)