蓬莱山ほうらいさん)” の例文
七椀きつし得ざるにまたただ覚ゆ両腋りょうえき習々清風の生ずるを。蓬莱山ほうらいさんはいずくにかある 玉川子ぎょくせんしこの清風に乗じて帰りなんと欲す(一七)
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
昼は蓬莱山ほうらいさんの絵ともみえた竹生島ちくぶしまが、いまは湖水から半身はんしんだしている巨魔きょまのごとく、松ふく風は、その息かと思われてものすごい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また絵所えどころに幾人も画家がいますが、席上の絵のき手に選ばれておおぜいで出ます時は、どれがよいのか悪いのかちょっとわかりませんが、非写実的な蓬莱山ほうらいさんとか、荒海の大魚とか
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
雄略ゆうりゃく天皇紀の二十二年に、浦島子うらしまのこの記事が出ているのは一つの不審だが、ともかくもこれが最古の文献であって、ここには蓬莱山ほうらいさんという漢字を使い、その古訓はトコヨノクニであった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは五人ごにんとも別々べつ/\で、石造皇子いしつくりのみこには天竺てんじくにあるほとけ御石みいしはち車持皇子くらもちのみこには東海とうかい蓬莱山ほうらいさんにあるぎんきんくき白玉しらたまをもつたえだ一本いつぽん阿倍あべ右大臣うだいじんには唐土もろこしにある火鼠ひねずみ皮衣かはごろも
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
いけはたの下邸に尾張侯、酒井日向守ひゅうがのかみ、酒井大学頭、松平摂津守せっつのかみなどを招いて恒例の具足祝いをしたが、酒狂乱舞のさなか、見あげるような蓬莱山ほうらいさんのつくりものを据えた十六人持ちの大島台おおしまだいかつぎだし
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)