葦叢あしむら)” の例文
可憐かれんな少女百合江でありましたから、すばやく右門は杉弥を伴ってそこの葦叢あしむらに身を潜めると、命ずるごとくにいいました。
葦叢あしむらをのぞき込むようにして膝行いざり出た禰宜様宮田の目には、フト遠い、ズーッと遙かな水の上に、何だか奇妙なものがあがいているのが写った。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
探検隊を乗せた二せきのカヌーは、隠された細流の入口に達する。浅黄色あさぎいろあしが一面に生い茂った葦叢あしむらの中を、数百ヤードばかり無理にカヌーを押して行くと、突如として、静かな浅い流れに出る。
かくれ忍んでいるその葦叢あしむらのまんまえに兄弟たちをいざなってくると、なんたる恋ゆえのおおしさであったろうぞ! すべてを心得たもののように、薄青白な月光のもとで
しかも、舟をそこの葦叢あしむらにとまらせると、あかりをすっかり消させてしまって、船頭たちにもそうすることを命じながら、ぴたり船底に平みついて、じっといま来た向こう岸に耳を傾けだしました。