ぎく)” の例文
そこでまず、ふんだとか、根だけ食い残したのぼろぎくだとか、玉菜たまなしんだとか、あおいの葉だとかいうものの堆高うずたかく積まれた上に、彼は腰をおろす。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
黄いろいフランスぎくがいまをさかりに咲きみだれている中庭のずっと向うにある、その日光室サン・ルウムを彼女に指して見せた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
彼はその夕明りの中にしみじみこの折目のついた十円札へ目を落した。鼠色の唐艸からくさや十六ぎくの中に朱の印を押した十円札は不思議にも美しい紙幣である。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
突當つきあたりの芥溜ごみためわきに九しやくけんあががまちちて、雨戸あまどはいつも不用心ぶようじんのたてつけ、流石さすがに一ぱうぐちにはあらでやま仕合しやわせは三じやくばかりゑんさきくさぼう/\の空地面あきぢめん、それがはじすこかこつて青紫蘇あをぢそ、ゑぞぎく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)