良人うちのひと)” の例文
お前でもいないと良人うちのひとが困るからよ、お父さんへは私がお詫をするから、長さんマアちゃんとお坐んなさいよ、何うしたのだねえ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何さ! 何でポカンと口を開いて人の顔を見てるんだよ! はやくどこか探して良人うちのひとを連れておいで。急な話があるんだからといって」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よしや仔細を聴たとてまさか私が狼狽うろたへまはり動転するやうなことはせぬに、女と軽しめて何事も知らせずに置き隠し立して置く良人うちのひとの了簡は兎も角も
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
わたし、とても面白い物語おはなしを思ひ出したわ。あたし、良人うちのひとが埋められた時のことを思ひ出したの。だつて、あのひとは生きたままで埋められたのぢやなくつて……。なんて、を
良人うちのひとがそれを聞きまして、そんな馬鹿な話はない、家にいもしない猫に高価たかい魚をたくさん持って来るには及ばないから、もう止した方がいいと七之助さんに意見しました
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そうさ、イギリスみたような強い国だ。イギリスでも驚くほど強くなった国で、旭日あさひの昇るごとくにこの頃は万国に名が輝いて、良人うちのひとは新聞を読んでそういう事を知って居る」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
哥兄あにきや二階で木遣の稽古、音頭取るのがアリヤ良人うちのひとエンヤラナ……
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
通船楼の若いおかみさんは、清吉には苦手にがてなお客様とみえる。せめて二十両でといえば、良人うちのひとに着せるのだから、自分の一存いちぞんではそう高く買えないと云う。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よしや仔細を聴いたとてまさか私が狼狽うろたえまわり動転するようなことはせぬに、女とかろしめて何事も知らせずにおき隠し立てしておく良人うちのひとの了簡はともかくも
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
他の職人より目をかけて丁寧に仕事を教えてくだすったので、お前斯うなったのじゃアないか、それに又お前のお母が歿なくなった時、お父さんや清五郎さんや良人うちのひとで行って
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あたりまえさ。良人うちのひとにわたしが見立てて着せようというのに、きたない値切り方をしたの、買い惜しみを
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに以前もと吉原よしはら一遍いつぺんでもあなたの所へ出たことがあるんですから、良人うちのひとに知れると悋気りんきではありませんが、いやな顔でもされるとあなたも御迷惑ごめいわくでございませうから内々ない/\で。
早く良人うちのひとが愈〻御用いひつかつたと笑ひ顔して帰つて来られゝばよい、類の少い仕事だけに是非為て見たい受け合つて見たい、慾徳は何でも関はぬ、谷中やなか感応寺かんおうじの五重塔は川越の源太が作り居つた
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今丁度お煮花にばなを入れたとこですから、好いじゃありませんかねえ、お使いが遅いなんかと仰ゃるうちじゃアなしさ、お小言が出りゃア良人うちのひとからお詫させまさアね、ホヽヽヽヽ
早く良人うちのひとがいよいよ御用いいつかったと笑い顔して帰って来られればよい、類の少い仕事だけに是非して見たい受け合って見たい、欲徳はどうでもかまわぬ、谷中感応寺やなかかんおうじの五重塔は川越かわごえ源太げんたが作りおった
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうなれば良人うちのひとも腹を立てゝ茂之助さんを手込てごみに打擲しまいものでもない……まアあるかないか知れませんが、他人ひとうちへ来て、縁の切れた人が刃物三昧でもすれば聴きません
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うちへはちょっくら買物にくって嘘をいてめえりましたが、わし良人うちのひとの茂之助もまア御縁があって、あんたを前橋から呼ばって栄町に世帯しょたいを持たせて置いた事は聞いて居ましたけれども
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
美「さアみんな起きてお出でなさい、良人うちのひとが腹を切りました」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)