舞扇まひあふぎ)” の例文
「三河屋へ行つて聽いて來ましたが、お三輪は宵のうちに、あの踊屋臺に舞扇まひあふぎを忘れたんださうで、それを取りに行つたさうですよ」
晶子は三越で買つて来た白地しろぢかうの図と菊とを染めた友禅と、京都の茅野蕭蕭ちのせうせう君に託して買つて貰つた舞扇まひあふぎの一対とを夫人に捧げた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
が、花簪はなかんざしが傾いたり、だらりの帯が動いたり、舞扇まひあふぎが光つたりして、はなはだ綺麗きれいだつたから、かもロオスをつつつきながら、面白がて眺めてゐた。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私はお師匠さんに何年程をどりを習つて居たのでせう、それとも幾月と云ふ程だつたのでせうか。舞扇まひあふぎを使ひ壊して新しく買ふことはかなり幾度もありました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
くれなゐの襟にはさめる舞扇まひあふぎ酔のすさびのあととめられな
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)