自業自得じごふじとく)” の例文
聞ば重五郎は船場ふなばにて横死わうしの由これまつたく儀左衞門殿が手にかけられしに相違さうゐなし然れば御内儀必ず我をうらみ給ふな是皆自業自得じごふじとくあきらめられよと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「氣の毒なのは磯屋の貫兵衞だ、——が、自業自得じごふじとくといふものさ、——それよりも可哀想なのはおつただ」
彼等かれら自業自得じごふじとくで、彼等かれら未來みらい塗抹とまつした。だからあるいてゐるさきはうには、はなやかな色彩しきさいみとめること出來できないものとあきらめて、たゞ二人ふたりたづさえてになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『わりや(なんぢは)飛んでもねえことを為て呉れたなあ。何も俺だつて、好んで斯様こんな処へ貴様を引張つて来た訳ぢやねえ——是といふのも自業自得じごふじとくだ——左様さう思つて絶念あきらめろよ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
仰せ付らるゝとも自業自得じごふじとくの儀に候へばいさゝかもうらむる所なし係り合の者共は何卒なにとぞ慈悲じひの御成敗せいばいねがはしく存じ奉つり候とて己れが舊惡を悉皆こと/″\く白状に及びしかばそれより口書こうしよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自業自得じごふじとくとは言ひ乍ら、ゐざりの乞食に附け廻されたお留はどうなつた事と思ふ。
取れたるは自業自得じごふじとくと言べし此以後心を改め女色にまよふ事なかれと有て其餘そのよかまひなしと申渡され此事落着らくぢやくなしたりけり斯て其日未刻頃やつどきごろ吾助お兼の兩人は追放つゐはうに成しかば何をあてに行べき方もなく品川宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)