脇明わきあけ)” の例文
その門口かどぐちに、美しい清水が流るる。いや、水のようなつまこぼれて、脇明わきあけの肌ちらちらと、白い撫子なでしこ乱咲みだれざきを、帯で結んだ、浴衣の地のうすお納戸。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「は、」と声がかかる、袖を絞って、たもとを肩へ、脇明わきあけ白き花一片ひとひら、手をすべったか、と思うと、あらず、緑のつるに葉を開いて、はらりと船へ投げたのである。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて、向直ってきざはしを下りて来た。引合わせている袖の下が、脇明わきあけれるまで、ふっくりと、やや円い。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
急心せきごころかっとなって、おののく膝をいて、ぐい、と手を懸ける、とぐったりしたかいなが柔かに動いて、脇明わきあけすべった手尖てさきが胸へかかった処を、ずッと膝を入れて横抱きにいだき上げると
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それを汚すようだから、雁首で吹溜めの吸殻を隅の方へ掻こうとすると、頑固な鉄が、脇明わきあけの板じめ縮緬ちりめん長襦袢ながじゅばんに危く触ろうとするから、吃驚びっくりして引込ひっこめる時、引っかけて灰が立った。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)