しか)” の例文
其方儀天一坊身分しかと相糺さず萬事ばんじ華麗くわれいていたらく有しを如何いかゞ相心得居申候やうつたへもせず役儀やくぎをもつとめながら心付ざる段不屆に付退役申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
芳賀博士の攷証本にもしかと出ておらぬ、多分インドで出来たのでなく江乙の語に拠って支那で作られたものかと思う。
この上長く此地にいられても詰りあなたの徳にもならずと、お辰憎くなるにつけてお前可愛かわゆく、真から底から正直におまえ、ドッコイあなたの行末にも良様よいよう昨夕ゆうべしかと考えて見たが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
無論相応の身分らしいが、出入の呉服屋の得意先という丈けで、素性すじょうしかと分らない。
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何分公方様御事禁庭様御首尾大によろしく被為在に付、御発駕も御延に相成候御容子、来る十一日石清水八幡宮に行幸有之、公方様御供奉被遊候。右相済候はゞ中旬頃御発駕も可有之哉、しかと不存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其事それは私の親友なる現任大蔵大臣も日本という国から坊さんが二人出て来てバーリタンまで入ったけれども、坊さんか何か話がしかと分らんのでそこから追い還してしもうたという話をされたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかと相違ございませんか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其方儀そのはうぎ天一坊身分みぶんしか相糺あひたゞさず百姓町人を欺き金銀を掠取かすめとり候段かみないがしろに致し重々不屆につき遠島ゑんたう申付る(八丈島)
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
予は沙翁がこれら日本の故事を聞き知ってかの語を作ったと思わぬが、同様の考案が万里をへだてた人の脳裏におのおの浮かみ出た証拠にしかと立つであろうと。
「ム、然様か。臙脂屋身代を差出しても宜いように申したと聞いたが、しかと然様か。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其方儀天一坊身分しかと存ぜずとは申ながら常樂院にたのまれかり住居の世話申候段不埓ふらちに付重追放申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかと認めがたけれど大抵青大将という蛇に似たり、この蛇水中にて人の手足をまとえど捕り殺す事を聞かず。また出羽最上川に薄黒くしてひらたき小蛇あり、いかだに附いて人を捕り殺すという。
しかと答えられず、鵠も鵝も足にみずかきあり概して言わば古ローマ古支那を通じて蛇の足は水鳥の足に似居ると信じたので、張衡その父が蟒蛇に呑まれたのをかくし転じて、大蛇に乗りて崖頂に登り