綾衣あやぎぬ)” の例文
赤、青、黄の原色美しい綾衣あやぎぬに、人形のように飾り立てられた彼女は、そこに生けるものとは思われなかったとか。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お縫の話によると、外記はおととしの秋頃から吉原へかよい始めて、大菱屋おおびしや綾衣あやぎぬという遊女と深くなった。それについてはお縫も意見した。用人の堀部三左衛門さんざえもんいさめた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
近いところが此楼こゝにいたあの綾衣あやぎぬがいゝお手本だよ、あんな夢中になってはつさんのところへき、惚れた同士だから中好なかよく毎日暮すだろうと、楼中うちじゅううらやみものだッたは知っているだろう
また、その青い綾衣あやぎぬには花鳥はなどりのもよう、薄むらさきの、長やかな風持つひも
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お縫 大菱屋おほびしや綾衣あやぎぬとかいふ女子をなご……。一昨年をととしからの深い馴染なじみとやら。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)