“紙銭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しせん85.7%
かみぜに14.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「わしが死んだ後に、家内の者が仏事をやって、しこたま紙銭しせんを焚いたので、冥府じごくの役人が感心して、それで送り還してくれたのだよ」
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その前の、埃のつもった床に、積重ねてあるのは、紙銭しせんであろう。これは、うす暗い中に、金紙や銀紙が、覚束おぼつかなく光っているので、知れたのである。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と、酒を位牌いはいにそそぎ、また冥土めいど供養の紙銭かみぜにをつかんでべ終ると、彼は声を放っておいおいと泣きだした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二本の朱蝋燭しゅろうそくをあかあかととぼさせたり、また、紙銭かみぜにや花をかざり、その間には香煙こうえん縷々るるいて、およそ兄の武大が生前好きだった種々くさぐさな供物は、なにくれとなく
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)