紅羅がんぴ)” の例文
土が白い色して、杜若かきつばたの花、紅羅がんぴつぼみも、色をおぼろに美しい。茱萸ぐみの樹を出ますと、真夜中の川が流れます。紀行を思うと、渡るのがあぶなっかしい。生えた草もまた白い。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほとんどつけ根へ露呈あらわなのですが、段々瞳がまると、真紅まっか紅羅がんぴの花をかんざしにして、柳条笹しまざさのようなの入った薄いきもの、——で青いんだの、赤いんだの、茱萸ぐみの実が玉のごとく飾ってある。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)