“がんぴ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
雁皮88.0%
紅羅4.0%
眼皮4.0%
雁皮紙4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雁皮がんぴを横に二つ折りにたたんで綴じたのへ、細筆で細かくロンドンにいる父への手紙を書いていた母の横顔は、なんと白くふっくりとしていただろう。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
土が白い色して、杜若かきつばたの花、紅羅がんぴつぼみも、色をおぼろに美しい。茱萸ぐみの樹を出ますと、真夜中の川が流れます。紀行を思うと、渡るのがあぶなっかしい。生えた草もまた白い。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほとんどつけ根へ露呈あらわなのですが、段々瞳がまると、真紅まっか紅羅がんぴの花をかんざしにして、柳条笹しまざさのようなの入った薄いきもの、——で青いんだの、赤いんだの、茱萸ぐみの実が玉のごとく飾ってある。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その中で一番妙な伝説をもつのは眼皮がんぴだ。枕の草紙に、かにひ(異本にがむひ)の花とあるはこれらしいが、色は濃からねど藤の花にいとよくにて、春秋と二度さくいとをかしとは眼皮と違ふ。
きのふけふの草花 (新字旧仮名) / 南方熊楠(著)
われに返ったように、雁皮紙がんぴへ絵筆を執り出したが、いくら描いても、反古ほごを作るばかりだった。そしてしまいには、無数の女の顔を、いたずらに描き初めた。その女の顔は皆、お可久に似ていた。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)