糸蒟蒻いとごんにゃく)” の例文
それから水一升に酒一合の割合で二時間ばかり煮て、牛蒡ごぼう糸蒟蒻いとごんにゃくと木くらげがあればなおいい。あるいは外の野菜でも時の物で構わん。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
茶碗に盛っただけは、こう云う訳で、どうにか、こうにか片づけたが、二杯目は我慢にもよそう気にならなかったから、糸蒟蒻いとごんにゃくだけを食って箸を置く事にした。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ねぎ糸蒟蒻いとごんにゃく、豆腐はよいとして、生麩なまふ生湯葉なまゆば百合根ゆりね、白菜等々、———敏子はそれらをわざと一度に運んで来ないで、ときどき、少しずつ、なくなると後から後からと附け足した。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それから人参にんじんを糸切りにして糸蒟蒻いとごんにゃくと前の牛蒡と三品を一旦湯煮ゆでておいてそれへ椎茸を加えて鰹節かつぶし煮汁だしと味淋と醤油とで美味おいしく煮ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
御菜には糸蒟蒻いとごんにゃくが一皿ついていた。自分は伏目になってこの御膳の光景を見渡した時、大いに食いたくなった。実は今朝けさから水一滴も口へ入れていない。胃は全くからである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
第三十五 鳥飯 はとりの肉を細かく切って椎茸や糸蒟蒻いとごんにゃくや外に時の野菜物を何でもんな小さく切って味淋と醤油でよく煮てそれを炊きたての御飯へ混ぜたものです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
別に椎茸しいたけ簾麩すだれぶとを極く細かく切って糸蒟蒻いとごんにゃくと一緒にお味淋やお醤油したじ美味おいしく煮ておきます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
糸切りにして塩でよくんでザット湯煮ゆで牛蒡ごぼうクラゲに糸蒟蒻いとごんにゃくにその他時の野菜物の細かく刻んだものと一緒に醤油とお酒と少しの砂糖とで二時間ほど汁沢山に煮ます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)