短靴たんぐつ)” の例文
……いかにもおれの親父はどん百姓だったが、おれはというと、この通り白いチョッキを着て、茶色い短靴たんぐつなんかはいている。雑魚ざこのととまじりさ。
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二本ともそろっていた。うすい肌色の長靴下をはいている。そして靴は短靴たんぐつ。スポーツ好みの皮とズックでできているあかぬけのした若い婦人向きの靴だった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いくらかおどかし気味でもあつた。尋常にぬげばすぐぬげる短靴たんぐつが、ちよつと脱ぎ悪くさうにも見えた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
妖精の国の女王様から、薔薇色をした短靴たんぐつが幾ダースも幾ダースも、註文がありました。
虹猫と木精 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
『それは長靴ながぐつにもなれば短靴たんぐつにもなる』とグリフォンがすこぶおごそかにこたへました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
赤いショールを掛けて素足すあし短靴たんぐつをはいた特殊な婦人がまるで蝙蝠のように辻々つじつじを素早く走り廻っているようなまちではどこでもこの時刻にはつきものの、或る種の場面や会話が持ちあがっていた。