目腐めくさ)” の例文
「な、何を吐かしゃアがる。はばかりながら、五両やそこらの目腐めくされ金を取ったって取られたって、それでお天気の変る男じゃねえんだ」
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其船の船頭は目腐めくされの中年の男で、今一人の若い方の船頭は頻りに荷物を運んで居た。髪を束ねたかみさんはとまやら帆布やらをせつせと片付けて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
だケエに十年も後家ごけ立デデせ、ホガガらワラシもらわらの上ララそだデデ見デも、羸弱キヤなくてアンツクタラ病氣ネトヅガれデ死なれデ見れば、派立ハダヂ目腐めくさ阿母アバだケヤエに八十歳ハチヂウ身空みそらコイデ
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
わづかばかりの目腐めくさがねに人の足を運ばせるはかへつて素人しろうとに多し。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「畜生……そんな目腐めくさがねで俺達が帰れると思うか」
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ひやく二百にひやく目腐めくさがねはおまへにもあげるよ。