白梅しらうめ)” の例文
伊勢はいくさといううわさだが、京都の空はのどかなものだ。公卿くげ屋敷の築地ついじには、白梅しらうめがたかく、加茂川かもがわつつみには、若草がもえている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小さい毛糸の靴下が、伸した手にひっかかった——白梅しらうめの入った莨入たばこいれの代りに。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この事は、彼の孤独な伝記に照して見てもうなずけるし、前に評釈した「白梅しらうめが昔より垣のそと」や「いもが垣根三味線草さみせんぐさの花咲きぬ」やを見ても、一層明瞭めいりょうに理解され得るところであろう。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
水戸さまは鼈甲べっこうの笠を冠ってお通いなされたと云いますが、伽羅は大した事で、容易に我々は拝見が出来んくらい貴い物で、一ぼくみょうと申しまして、仙台の柴舟しばふね、細川の初音はつねに大内の白梅しらうめ
むかしそう武帝ぶていむすめ壽陽じゆやう麗姫れいき庭園ていゑんするときうめはなりて一片ひとひらかんばせかゝる。おもかげまたたぐふべきものなかりしより、當時たうじ宮女きうぢよみなあらそつて輕粉けいふんもつかほ白梅しらうめはなゑがく、しようして梅花粧ばいくわしやうふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
師走の闇夜やみよ白梅しらうめの、おもてろうに照らされる。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白梅しらうめに明ける夜ばかりとなりにけり
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
白梅しらうめに明くる夜ばかりとなりにけり
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)