生存せいそん)” の例文
驚ろかんとしてここにあつまる者は皆当世的の男と女である。ただあっと云って、当世的に生存せいそんの自覚を強くするためである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
んなことかんがしたときには、仕方しかたいので——しかし、三千ねんぜん石器時代せききじだい住民じうみんは、今日こんにちまでも生存せいそんして我等われらかたる——とつたやうこと思浮おもひうかべて、しひなみだまぎらすのである。
ありは甘きに集まり、人は新しきに集まる。文明の民は劇烈なる生存せいそんのうちに無聊ぶりょうをかこつ。立ちながら三度の食につくのいそがしきにえて、路上に昏睡こんすいの病をうれう。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
坂を上って伝通院の横へ出ると、細く高い烟突えんとつが、寺と寺の間から、汚ないけむを、雲の多い空に吐いていた。代助はそれを見て、貧弱な工業が、生存せいそんために無理に呼吸いきを見苦しいものと思った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)