状筥じょうばこ)” の例文
見ると、こひは、状筥じょうばこを持っていた。今、玄関に使いが見えておりますというのである。状筥を膝へ取って、ふたを払うと
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、どうしてこのご状筥じょうばこが、さるめの首にゆわいつけてあったのか。その、なんともに落ちないことである……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一学いちがくもおなじようにすすぎをおえ、神殿しんでんがんにみあかしをともした。ふとみると、そこに禁裡きんりのみしるしのある状筥じょうばこがうやうやしく三ぼうの上にのせられてある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀忠の裁可を得るために一同が秀忠の前に出たり、また、奥とそこの間を、状筥じょうばこの通う数も頻りであった。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱入者らんにゅうしゃのそうどうのほうも気にかかるが、これまた意外いがいあまくだりの状筥じょうばこ、とにかく一けんしようと、長安ながやすはあたふたと居間いまへはいり、ともしびをかき立ててなかをひらく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周馬の筆跡を状筥じょうばこに厳封して、早飛脚を大阪の桃谷に立たせ、かれ自身はひとりで、いつもの深編笠、山科の村へ入って、堀田伊太夫というものの住居を探り歩いた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弥兵衛は手につかんでいる状筥じょうばこを示して、京都からたった今着いた早馬の使いの容子ようす、ただ事ならず思われるので、何かお人払い中と聞くが、すぐこの由を、殿のお耳へ入れてもらいたいと云った。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姫路革ひめじがわ状筥じょうばこ朱漆しゅうるしに短檠の灯がてらと照った。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あわただしく状筥じょうばこをひらきあった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)