物言ものいい)” の例文
武芸者気質ぶげいしゃかたぎで、一心斎は竜之助の剛情がかっしゃくに触ったものですから、自身立合おうという。飛んだ物言ものいいになったが、事は面白くなった。
たとえば冒頭の「いづれの御時おほんときにか、女御にようご更衣かういあまたさぶらひ給ひけるなかに」云々の語法は、今もなお上品な物言ものいいの婦人に用いられている。
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)
薔薇ばらの花はかしらに咲て活人は絵となる世の中独り文章而已のみかびの生えた陳奮翰ちんぷんかんの四角張りたるに頬返ほおがえしを附けかね又は舌足らずの物言ものいいを学びて口によだれ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何時いつの頃であったか、多分その翌年頃の夏であったろう、その年おもにお島の手にまかされてあった、わずか二枚ばかりの蚕が、上蔟じょうぞくするにのない或日、養父とごたごたした物言ものいい揚句あげく
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お徳はどうかすると譏謔あてこすりを言い兼ないがお源さんにそんなことでもすると大変よ、反対あべこべ物言ものいいを附けられてどんな目にうかも知れんよ、私はあの亭主の磯が気味が悪くって成らんのよ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
心緒こころばえよしなき女は、こころ騒敷さわがしくまなこ恐敷おそろしく見出みいだして、人を怒り言葉あららか物言ものいいさがなく、くちききて人に先立ち、人をうらみねたみ、我身に誇り、人をそしり笑ひ、われひと勝貌まさりがおなるは、皆女の道にたがえるなり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あのたおやかな古文の妙、たとえば真名盤まなばんこういたようなのが、現代のきびきびした物言ものいいに移されたとき、どんな珍しい匂が生じるだろう。
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)