いか)” の例文
新字:
し出たるのち淨水てうづこまをりから斯々かく/\の娘を見染ぬ世に二個となき美人なればそゞろに戀しく思ひつゝ此美婦人このびふじんくらぶれば櫻もいかで物かはと花見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いはんや好惡の念強かりしシヨオペンハウエルが如きもの、若くは僻境に居りて經驗少かりけるカントが如きもの、いかでか偏僻頑陋と看做されざらむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
手に白刃を拔き持ちてかの女房を逐ひしりぞけ、大音に呼びけるやう。物にや狂ふ、女子をなご聖母マドンナいかでか汝がたすけを求めん。
この顯象世界の中、いかでか是非なきことを得べき。佛家はこれを體象力といひ、ハルトマンはこれを質用といふ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
さらずば、君は始より眞成まことにベルナルドオを愛せざりしか。君が唇のベルナルドオのぬかに觸れしをば、われ猶記す。君いかでかベルナルドオを愛せざらん。
もて身の營業なりはひとなすものがいかで左樣な惡き事に荷擔かたん致してすむ可きかは此御賢察ごけんさつこひねがふと口には立派りつぱに言物からこゝろの中には密計みつけいの早くもあらはれ夫ゆゑに弟は最期さいご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人の腦髓のかくまで淺はかなる事を弄ぶことを嫌はざるは、げに怪しき限ならずや。嗚呼、我とてもいかでかことさらに此の如き事のために、我腦髓を役せんや。
恭々敷うや/\しく正面しやうめんとこかざ悠々いう/\としてひかへたり大膳左京の兩人はかゝこととはいかで知るべき盃の數もかさなりて早十分にゑひを發し今はよき時分じぶんなりいざ醉醒ゑひざめの仕事に掛らんと兩人は剛刀だんびら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)