なす)” の例文
旧字:
神異記しんいき洞冥記とうめいきにも夜光珠やくわうしゆの㕝見えたれども孟浪うきたることしよくす。古今注ここんちゆうにはすぐれて大なるくぢらは夜光珠をなすといへり。
「今朝新聞を見ましたところが、阿父おとつさんが、大怪我をなすつたと出てをつたので、早速お見舞に参つたのです」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「坊はねくおききよ。先におなくなりなすって、遠方の墓に埋られていらっしゃる方に、似てるのだよ。ぼうもねその方の通りに、寛大ゆったりして、やさしくッて、剛勇つよくなっておくれよ」
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
一 女は我親の家をばつがず、舅姑の跡を継ぐ故に、我親よりも嫜を大切に思ひ孝行をなすべし。嫁して後は我親の家にゆくこともまれなるべし。まして他の家へは大方は使をつかわして音問いんもんなすべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
神異記しんいき洞冥記とうめいきにも夜光珠やくわうしゆの㕝見えたれども孟浪うきたることしよくす。古今注ここんちゆうにはすぐれて大なるくぢらは夜光珠をなすといへり。
「それではこの上どんなにお願ひ申しましても、貴方はお詑をなすつては下さらないので御座いますか。さうして貴方もやはりわたくしゆるさんと有仰おつしやるので御座いますか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
奥様が妙に苦々しい笑いようをなすって、急に改まって、きっぱりと
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
しかれども陰陽和合して人をなすゆゑ、男に無用の両乳りやうちゝありて女の陰にかたどり、女に不要ふよう陰舌いんぜつありて男にかたどる。気中に活動はたらく万物ばんぶつもるる事なし。
貴方にしてもこんな家業を決して名誉と思つて楽んでなすつてゐるのではないでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
およそ物をるに眼力がんりきかぎりありて其外そのほかを視るべからず。されば人の肉眼にくがんを以雪をみれば一片ひとひら鵞毛がまうのごとくなれども、十百へん雪花ゆき併合よせあはせて一へんの鵞毛をなす也。