“点(さ)” の例文
旧字:點
その貴重な油樽が、見世奥に積んであったのへ、長崎屋、いみじくも、火を点(さ)したものと見えた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
四季袋(しきぶくろ)を紐短(ひもみじ)かに挈(さ)げたるが、弗(ふ)と此方(こなた)を見向ける素顔の色蒼(あを)く、口の紅(べに)も点(さ)さで、やや裏寂(うらさびし)くも花の咲過ぎたらんやうの蕭衰(やつれ)を帯びたれど、美目の盻(へん)たる色香(いろか)尚濃(なほこまやか)にして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
奥様は朝に粧(つく)り、晩に磨(みが)き、透き通るような御顔色の白過ぎて少許(すこし)蒼(あお)く見えるのを、頬の辺へはほんのり紅を点(さ)して、身の丈(たけ)にあまる程の黒髪は相生(あいおい)町のおせんさんに結わせ
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「あれが台湾館なの」と何気なき糸子は水を横切って指を点(さ)す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
髪は櫛巻(くしま)きに束(つか)ねて、素顔を自慢に※脂(べに)のみを点(さ)したり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紅毛(オランダ)油の大樽に、わざわざ火を点(さ)されたこと、火の手の廻り方が存外に早かったので
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
放(つ)けたな! 火を! 点(さ)したな! 火を! ほ、ほ、ほ!
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)