満腹まんぷく)” の例文
旧字:滿腹
満腹まんぷくすると、雨谷君の両方のまぶたがきゅうに重くなり、すみにたたんで積んであった夜具やぐをひきたおすと、よくしきもせず、その中へもぐりこんでしまったのだ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これの事情を以て、下士のはい満腹まんぷく、常に不平なれども、かつてこの不平をもらすべき機会を得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それでかれがすっかり満腹まんぷくしてしまったとき、わたしたちはやはりはらがすいていた。わたしはかれのぶんから三きれ取って背嚢はいのうの中にかくして、あとで犬たちにやることにした。
あるいえではクワスをませ、あるところではパンをわしてくれる。で、かれはいつも満腹まんぷくで、金持かねもちになって、六号室ごうしつかえってる。が、そのたずさかえところものは、玄関げんかんでニキタにみんなうばわれてしまう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「ああ余は遠く来た甲斐かいがあったよ。ほう、美味びみ満腹まんぷくだ。はて、何といわれたかね」
「ははは、愉快だ。もう満腹まんぷくだ。のめや、うたえや。われらの春だ」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)