“満々”のいろいろな読み方と例文
旧字:滿々
読み方割合
なみなみ42.1%
まんまん42.1%
まん/\5.3%
みちみち5.3%
みち/\5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼女の顔いろに怖れをなして、かたくちへ満々なみなみいでやると、朱実は、眼をつむって、うつわと共に、白いおもてを仰向けにのみほした。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白浪はくろうをかんで、満々まんまんを張ってきた八幡船ばはんせんの上では多くの手下どもが、あけぼのの空をあおいで、しおなりのようにおどろき叫んでいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は毎年の秋たけだいに開かれる絵画展覧会を見ての帰り道、いつも市気しき満々まん/\たる出品の絵画よりも、むかうをか夕陽せきやう敗荷はいかの池に反映する天然の絵画に対して杖をとゞむるを常とした。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
煙は中天に満々みちみちて、炎は虚空にひまもなし。まのあたりに見奉れる者、更にまなこあてず、遥に伝聞つたへきく人は、肝魂きもたましひを失へり。法相ほつさう三論の法門聖教、すべて一巻も残らず。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
左りの手にてかこう筈なし余は最早もはや我が心をおさゆあたわず、我が言葉をも吐くあたわず、身体に満々みち/\たる驚きに、余は其外の事を思う能わず、あたかも物に襲われし人の如く一せい高く叫びしまゝ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)