まみ)” の例文
政子は、黙ってうなずきながら、露や草の実にまみれた身を、そのまま、たおれている朽木くちぎへ腰かけて、もう明け近い海面うなづらに向けていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両側に立続く長屋はちりまみれし赤煉瓦の色黒くなりて、扉傾きし窓々にはも見えず、低き石段を前にしたる戸口のうちは、闇立ち迷ひて
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
足袋たびも脚絆も塵埃ほこりまみれて白く成つた頃は、かへつて少許すこし蘇生の思に帰つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)