“汚穢”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おわい36.4%
けがれ13.6%
きたな10.6%
むさ7.6%
おあい4.5%
おえ4.5%
むそ4.5%
むさくる3.0%
をわい3.0%
おかい1.5%
きたない1.5%
きたなき1.5%
きたなさ1.5%
きたなら1.5%
けがれもの1.5%
をくわい1.5%
オエ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
東京市の道路は甚乱雑汚穢おわいなり。此を攻撃する新聞社の門前は更に乱雑塵捨場ごみすてばの如し。門に入り戸を開けば乞食も猶鼻をおおうべし。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また神魂たまは骸と分かりては、なお清くきよかるいわれありとみえて、火の汚穢けがれをいみじくみ、その祭祠まつりをなすにも、けがれのありては、そのまつりを受けざるなり
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
乞食より汚穢きたな婆々ばばあです、さうして塩茄子しおなすびのように干乾ひからびておりますよ。おお、胸の悪い、私が今参りました時は死骸の懐中をしらべておりました。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
舌長姥 こぼれたあつものは、埃溜はきだめの汁でござるわの、お塩梅あんばいには寄りませぬ。汚穢むさや、見た目に、汚穢や。どれどれ掃除して参らしょうぞ。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪之丞は、全身を汚穢おあいなへどろで塗りこくられでもするような、言い難い悪寒おかんをじっとえしのびながら、二人の言葉に耳をかたむけるふりをしていた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
私どもは驚きます。「私どもが神の子? この無力無能、汚穢おえ下賤げせんの私どもが神の子? そんなことはありようはずがない」
胡瓜きゅうりならば日野川の河童かっぱかじろう、もっての外な、汚穢むそうて汚穢うて、お腰元たちが掃除をするに手がかかって迷惑だ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『爪垢を少しためて。——だが、汚穢むさくるしくなってはいけない。隔日位に、お湯に入って皮膚を清潔な健康色に磨くのがよろしいでしょう。』
劇烈欝勃うつぼつの行為を描き、其主人公はおほむね薄志弱行なりし故に、メルクは彼をいましめていはく、かくの如き精気なく誠心なき汚穢をわいなる愚物は将来決ツして写すなか
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
彼は一切の汚穢おかいを捨てず、之を摂取し、之を利用する。神程吝嗇爺けちおやじは無い。而して神程太腹ふとっぱらの爺も無い。彼に於ては、一切の不潔は、生命を造る原料である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
貧乏と云ふことはまで耻かしいことではありません、私も貴所方あなたがたみん汚穢きたない着物でせう、私も貴所方も皆な貧乏人です、けれど、貧乏や着物の汚穢のを気にしてはなりませんよ、汚穢きたない心を持つて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
人死にて神魂たま亡骸なきがらと二つにわかりたる上にては、なきがら汚穢きたなきものの限りとなり、さては夜見よみの国の物にことわりなれば、その骸に触れたる火にけがれのできるなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
せまいと汚穢きたなさとは我慢するとしても、ひとの寒さは猛烈もうれつに彼等に肉迫にくはくした。二百万の人いきれで寄り合うて住む東京人は、人烟じんえん稀薄きはくな武蔵野の露骨ろこつな寒さを想い見ることが出来ぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
汚穢きたならしいが、まアとにかくこっちへお上りなすって……」
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このうちとどまりて憂目うきめを見るは、三人みたり婦女おんな厄介やっかい盲人めしいとのみ。婦女等おんなたちは船の動くととも船暈せんうんおこして、かつき、かつうめき、正体無く領伏ひれふしたる髪のみだれ汚穢けがれものまみらして、半死半生の間に苦悶せり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先年名佐なさ技師ぎし地質調査ちしつてうさの為め探検たんけんして之よりかへられし処とす、衆露宿ろしゆくを此にる、人夫十数人拮据勉励きつきよべんれい、大石をのぞきて磧中をり温泉塲二ヶしよつくる、泉石幾年のこけ汚穢をくわい甚しきを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
一、書策ハツツシンコレ汚穢オエ紛失フンシツスベカラズ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)