欣々然きんきんぜん)” の例文
おもうにその青年輩をして、気達し、意昂り、砂漠の枯草が甘露に湿うるおうて、欣々然きんきんぜんとして暢茂ちょうもするの観を呈したるまた知るべし。また高杉晋作に与えたる書中に曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
七つ八つの家では我儘わがままでも、ここへ来ると欣々然きんきんぜんとして親玉の節度に服している。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そこで僕もおおいによろこんで彼の帰国を送った。彼は二年間の貯蓄の三分の二を平気でなげうって、錦絵にしきえを買い、反物たんものを買い、母やおととや、親戚の女子供を喜ばすべく、欣々然きんきんぜんとして新橋を立出った。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
欣々然きんきんぜんとして、あてもないのに、町の数をいくつも通り越して、にぎやかな往来おうらいを行ける所まで行ったら、往来は右へ折れたり左へ曲ったりして、知らない人のあとから、知らない人がいくらでも出て来る。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それで彼らはまた正月の任務を欣々然きんきんぜんとして引受けていたのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)