柏崎かしわざき)” の例文
信濃国しなののくにでは、上諏訪かみすわから和田峠を越えて、上田の善光寺に参った。越後国えちごのくにでは、高田を三日、今町を二日、柏崎かしわざき、長岡を一日、三条、新潟を四日で廻った。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
八五 土淵村の柏崎かしわざきにては両親ともまさしく日本人にして白子しらこ二人ある家あり。髪も肌も眼も西洋人の通りなり。今は二十六七ぐらいなるべし。家にて農業をいとなむ。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
伊豆伍いずごは、身上しんしょう二十五万両と言われる神田三河町の大店おおだなだ。一代分限だいぶんげんで、出生しゅっせいは越後の柏崎かしわざきだという。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
栄吉は彼の前にいろいろな改正の印鑑を取り出して見せた。あるものは京都府の駅逓えきてい印鑑、あるものは柏崎かしわざき県の駅逓印鑑、あるものは民政裁判所の判鑑というふうに。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
予は新潟からここへくる二日前に、此の柏崎かしわざき在なる渋川の所へ手紙を出して置いた。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かれは、伊豆伍と同じ、越後えちご柏崎かしわざき出の商人で、同郷なればこそ一層、昔から伊豆伍と筆幸は、激しい出世競争の相手だったのだ。その伊豆伍を倒す絶好の機会である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一五 オクナイサマを祭ればさいわい多し。土淵村大字柏崎かしわざきの長者阿部氏、村にては田圃たんぼうちという。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
隅田川・桜川・柏崎かしわざき三井寺みいでら等の十数篇の謡曲を始めとして、近くは駿州のうばヶ池、下野足利しもつけあしかが水使みずしの淵、または仙台の小鶴が池の伝説の如く、子を失った親の悲しみを取扱った民間の文芸ほど
ツギツギ 越後柏崎かしわざき