柄手つかで)” の例文
すさまじい一合二合! そこでガッキとつばが食いあったが弦之丞、坂の下寄りへ廻っていたので、柄手つかでをねじって、ひッぱずした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ!」とかわすと、またすぐに一枚の小さな皿、独楽こまのように吹ッ飛んできて、柄手つかでかざした一角の刀のつばにあたってパッと砕ける。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と斬りすべって、くうを切って泳いだまま、体の取り返しもつかないところを、先の腕がその柄手つかでを抑えて、ムズと手元へ抱きこみました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はりがふれてもピリッと感じるであろう柄手つかで神経しんけいに、なにか、ソロリとさわったものがあったので竹童は、まさしく相手の得物えものと直覚し
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
作左衛門は咄嗟に横へかざした太刀で受け止めたが、柄手つかでから腰もくじけるほどな圧力を受けてたじたじと乱れ足になったところ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とその隙を後の二人が柄手つかでつばをくれて、八方から斬りつけようとするところへ、傍らの雑木林の樹蔭で、最前から様子を見ていた一人の六部が
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つばからはずれた尖傷さききず柄手つかであけに染めつつ銀五郎、もう受身に受身を重ねてジリジリと生洲いけすふちへ追いつめられる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足をすくった孫兵衛の刀は、風を流して湯小屋の柱へズンと食いこみ、一角の烈刀は一節切ひとよぎりの竹にはね返されて、柄手つかでにきびしいしびれを感じたばかり。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、右馬介がそのひじを、下からつよく打ったので、高氏は柄手つかではずし、次の動作に移る体を欠いたまま
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅酢うめずの樽へでも手を突っこんだように、柄手つかでから肩半分まで、あけになると、城太郎の頭には、もう何もない。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肩を開いて、斬りすべって来た万太郎の刀の柄手つかでをグッとつかみ取るなり
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周馬と一角がひじを並べて柄手つかでをかける。虚無僧は冷然とそれを見すえて
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、ブルルッと奇怪なしびれが柄手つかでに伝わったかと思う間に
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さやを払ってみれば、夕星ゆうずつの下、柄手つかでに露もこぼるるばかり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、つるのように、柄手つかでひじを張った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)