板挟いたばさ)” の例文
旧字:板挾
そうほうのなか板挟いたばさみとなって、ややしばらく、うでをくんでしまったが、やがて、大久保おおくぼがたの者と忍剣にんけんたちの両方りょうほうたいして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
為家は後鳥羽院や順徳天皇にお仕えする方と、父の庭訓との板挟いたばさみになって、相当苦しまされたのでないかと思う。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
つまり亭主への反感と、品子への反感と、孰方どっちの感情で動いたらよいか板挟いたばさみになってしまったのである。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
人間と人間との間の板挟いたばさみにされ、両脚あしは宙に浮いて身体が波の動揺のままにゆさぶられているのです。
そこで飯場はんばあがって見ると、自分のような人間は仲間にしてやらないと云わんばかりの取扱いである。自分は普通の社会と坑夫の社会の間に立って、立派に板挟いたばさみとなった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分ばかりが呆気あっけに取られるだけなら我慢もなるが、社外の人に手数を掛けたり多少の骨折ほねおりをさせたりした事をおかまいなしに破毀はきされてしまっては、中間に立つ社員は板挟いたばさみになって窮してしまう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かれは双方そうほう板挟いたばさみとなって、この場合ばあいをどう処置しょちしていいのか、ほとんど、とうわくしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて自分達が板挟いたばさみになって困らされる時が来るような気がして、その日は何を云われても
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
宗近むねちかのような平気な男なら、苦もなくどうかするだろう。甲野こうのなら超然として板挟いたばさみになっているかも知れぬ。しかし自分には出来ない。むこうへ行って一歩深くはまり、こっちへ来て一歩深く陥る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
眼をわずらっていたからでもあったが、一つには、姉が義兄の意を伝えて雪子を返せと云い出しでもして、雪子ががえんじなかった場合に、板挟いたばさみになるのを恐れたからであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
世間体が悪く、むずかしく云えば兄としての体面に関すると思っているらしいので、もし云うことを聴いてくれないと、鶴子ちゃんが板挟いたばさみになって苦しまなければならない、それで
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)