木造もくぞう)” の例文
木造もくぞうの廊下をまはつて、部屋へやへ這入ると、早くたものは、もうかたまつてゐる。其かたまりが大きいのとちいさいのとあはせて三つ程ある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
床上しようじよう振動しんどう地面ぢめんのものゝ三割さんわりしなることが普通ふつうであるけれども、木造もくぞう二階建にかいだて階上かいじよう三倍程度さんばいていどなることが通常つうじようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ニールスは、この町の上まで飛んできたとき、大部分の家が、小さな低い木造もくぞうの家であることに気がつきました。
直ぐ眼下がんかは第七師団である。黒んだ大きな木造もくぞうの建物、細長い建物、一尺の馬が走ったり、二寸の兵があるいたり、赤い旗が立ったり、喇叭らっぱが鳴ったりして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あの法隆寺ほうりゆうじ金堂こんどう五重ごじゆうとう中門ちゆうもんなどが一番いちばんふるいもので、千何百年せんなんびやくねんながいあひだ木造もくぞう建築けんちくがそのまゝつたはつてゐるといふことは、世界せかいにもあまれいのないことです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ふくろうがときどきホウホウとこずえに鳴いて、まるで墓場のように無気味であった。木造もくぞうの背の高い古ぼけた各教室は、納骨堂が化けているようであった。そしてどの窓も真暗であった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
著者ちよしや明治二十七年めいじにじゆうしちねん六月二十日ろくがつはつか東京地震とうきやうぢしん本郷ほんごう湯島ゆしまおいて、木造もくぞう二階建にかいだて階上かいじよう經驗けいけんしたことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ふと見ると、右手のほうの、通りからすこしはなれた木立こだちの中に、木造もくぞうの古い教会が立っていました。ためらうひまもなく、すぐさまニールスは、教会めがけてかけていきました。
したがつて地震動ぢしんどう性質せいしつ地震ぢしん損傷そんしようしない土木工事どぼくこうじや、建築けんちく仕方しかたとうについての研究けんきゆう非常ひじようすゝみ、木造もくぞうならび西洋風せいようふう家屋かおくにつき耐震構造法たいしんこうぞうほうなどほとんど完全かんぜんいきすゝんだ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
家々は木造もくぞうでしたが、たいへんきれいに建ててありました。たいていの家にはかざりのついた破風はふがあり、色ガラスのはまっているヴェランダも見えました。かべはあかるいペンキでぬってありました。