暁斎ぎょうさい)” の例文
君はまた余に惺々しょうじょう暁斎ぎょうさい画譜がふ二巻を呉れた。惺々暁斎は平素ねこの様につゝましい風をしながら、一旦酒をあおると欝憤うっぷんばらしに狂態きょうたい百出当る可からざるものがあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
容斎ようさいの芳野、暁斎ぎょうさいからす、その外いろいろな絵を見せられた。それについて絵の論が始まった。
車上の春光 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
劇壇において芝翫しかん彦三郎ひこさぶろう田之助たのすけの名を挙げ得ると共に文学には黙阿弥もくあみ魯文ろぶん柳北りゅうほくの如き才人が現れ、画界には暁斎ぎょうさい芳年よしとしの名がとどろき渡った。境川さかいがわ陣幕じんまくの如き相撲すもうはそのには一人もない。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただし俳諧の方には北斎・崋山かざん暁斎ぎょうさい清親きよちかを経て、現在の漫画隆盛に到達したような閲歴は無く、人はただ発句ほっく出丸でまる籠城ろうじょうして、みずから変化の豊かなる世相描写を制限することになったが
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
無聊ぶりょうに苦んでいるお玉は、その窓の内で、暁斎ぎょうさい是真ぜしんの画のある団扇を幾つも挿した団扇挿しの下の柱にもたれて、ぼんやり往来を眺めている。三時が過ぎると、学生が三四人ずつの群をなして通る。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
記念の暁斎ぎょうさい画譜がふ大切だいじしまって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)