晃々くわう/\)” の例文
物質的英雄が明晃々くわう/\たる利剣を揮つて、狭少なる家屋の中に仇敵と接戦する間に、彼は大自在の妙機を懐にして無言坐するなり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
新しくらされた土の上には、亜鉛屋根だの、軒燈だの、白木の門などが出来て、今まで真鍮しんちゆうびやうを打つたやうな星の光もどうやら鈍くなり、電気燈が晃々くわう/\とつくやうになつた。
亡びゆく森 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
……はしすべつて、はツとると、こゝに晃々くわう/\としてなめらかなるたま姿見すがたみめた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
晃々くわう/\とさしのぼり最早夜の亥刻よつ時分共思ふ頃やゝ原中はらなかまで來りしに最前より待設けたる雲助共松のかげより前後左右に破落々々ばら/\あらはれ出でヤイ/\小童子こわつぱまて先刻さつき松の尾の酒屋ではようも/\我等を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
篠田は晃々くわう/\たる雪の山々見廻はして、歓然たり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
雲は寄る寄るがけんで、ね返されたる倒波ローラアの如きあり、その下層地平線にれて、波長を減じたるため、上層とさつして白波サアフあは立つごときあり、これを照らすにかの晃々くわう/\たる大月あり
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)