斬刑ざんけい)” の例文
もちろん高氏は、すでに斬刑ざんけいずみのよしを答え、その群盗どもが、酢屋すやへ押入った当夜のもようを詳しい書類として、殿ノ法印まで送りとどけた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
斬刑ざんけいがすんで、浜松城はままつじょうからきている奉行ぶぎょう検死けんし役人などは、みな床几しょうぎを立ちはじめた。りみだれて立ちはたらく下人げにんたちのあいだに、血なまぐさい陰風いんぷうく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「獄中の宋江と、戴宗たいそうとをあわせて、同日同所で、斬刑ざんけいに処せ。刑場の立て札には、ともに梁山泊に気脈を通じ、不逞ふていな陰謀をいだいた大賊なりと公示するがいい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また于吉仙人を信ずるもの数十名の刑吏を武士に命じてことごとく斬刑ざんけいに処した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つ 尊氏の六波羅にあるや、みだりにみずから奉行をとなえ、上のみゆるしもなき御教書みぎょうしょを発し、親王のそつをとらえて、これを斬刑ざんけいするなど、身、司直にもあらざるに法をり行う。これ罪の三。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幼少ながら、かれのすえ浜松城はままつじょうのろいであった。それをらえたのは近ごろの快事かいじ、いずれも斬刑ざんけいのすみしだいに、恩賞おんしょうにおよぶであろうが、その日のくるまでは、かならず油断ゆだんせまいぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)