打付ぶッつ)” の例文
と云いながらそばに有りました今戸焼の蚊遣火鉢を取って打付ぶッつけると、火鉢は山之助とお繼の肩の間をそれて向うの柱に当って砕け、灰は八方に散乱する。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此度はまた淫売のことで崇られるかな、と平常は忘れている、其様そんなことが一時に念頭に上って自分をば取着く島もなく突き離されたその上に、まだ石を打付ぶッつけられるかと、犇々ひしひしと感じながら
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
赤蛙あかがえるが化けたわ、化けたわと、親仁おやじ呵々からからと笑ったですが、もう耳も聞えず真暗三宝まっくらさんぼう。何か黒山くろやまのような物に打付ぶッつかって、斛斗もんどりを打って仰様のけざまに転ぶと、滝のような雨の中に、ひひんと馬のいななく声。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたし突出つきだしやアがッてって恐ろしくおこって、わしに薪割を打付ぶッつけるといったが、お前が這入れば大変だった
相川はいそ/\と一人で喜び、コッツリと柱に頭を打付ぶッつけ、アイタヽ、兎に角此方こちらへと座敷へ通し
由「あいてえ石頭を打付ぶッつけて……旦那ナニを……まじないでげすから貴方の下帯を外して貸して下さい下帯で釣りを掛けるといので、私のは越中でいけませんが、貴君あなたのは絹でげしょう」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくしは現に其の婆さんの怖い姿を見た上に、薪割を打付ぶッつけるとまで立腹したんですが、その婆さんを一目見たので祈ってる事が解りましたよ、婆さんの怨みも死んだ花魁の恨みも晴れさえすれば
また山之助の突掛つきかける所を引外ひっぱずして釣瓶形つるべがたの煙草盆を投付け、続いて湯呑茶碗を打付ぶッつけ小さい土瓶を取って投げる所を、横合よこあいからお繼が、親の敵覚悟をしろと突掛けるのを身をかわして利腕きゝうでを打つと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)