うやう)” の例文
その頃はマダ葵の御紋の御威光が素晴らしい時だったから、町名主は御紋服を見ると周章あわてて土下座どげざをしてうやうやしく敬礼した。
それらの繪馬ゑままじつて、女の長い黒髮の根元から切つたらしいのが、まだ油のつやも拔けずに、うやうやしく白紙はくしに卷かれて折敷をしきに載せられ、折敷のはしに『大願成就だいぐわんじやうじゆとらとしの女』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
余は五十グラムの葛湯くずゆうやうやしく飲んだ。そうして左右の腕に朝夕あさゆう二回ずつの注射を受けた。腕は両方とも針のあとまっていた。医師は余に今日はどっちの腕にするかと聞いた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
コイツ面白いと、うやうやしく五厘を奉書に包んで頼みに来る洒落者もあった。椿岳は喜んで受けて五厘の潤筆料のため絵具代を損するを何とも思わなかった。
つと馬鹿な奴はカーボンやプラチナ板に撮した自分の写真をうやうやしく送つて来る奴もある。イヤハヤお咄しにならんが、旦那は這般こん連中てあひ寛大おほめに見て在らツしやるんだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
ところが社員は恐る恐るを通じて早速部屋に通され、粛々如としてうやうやしく控えてると
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)