“引敷”の読み方と例文
読み方割合
ひっし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
踏躙ふみにじ気勢けはいがすると、袖のもつれ衣紋えもんの乱れ、波にゆらるゝかと震ふにつれて、あられの如く火花にて、から/\と飛ぶは、可傷いたむべし引敷ひっしかれとげを落ちて、血汐ちしおのしぶく荊の実。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
せなを貸せ、宗山。」と言うとともに、恩地喜多八は疲れたさまして、先刻さっきからその裾に、大きく何やらうずくまった、形のない、ものの影を、腰掛くるよう、取って引敷ひっしくがごとくにした。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆきみじかな右の手に、畳んだままの扇を取って、温顔に微笑を含み、ゆるぎ出でつ、ともなく客僧の前へのっしと坐ると、気にされた僧は、ひしと茶斑ちゃまだらの大牛に引敷ひっしかれたる心地がした。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)