引外ひっぱず)” の例文
「暗いから、はや、なおたまりましねえ。いかなこッても、勝手が分らねえけりゃ、店の洋燈でも引外ひっぱずしてござればいに。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仲人ちゅうにんだと云うのに聞入れず私を打ちに掛ったから、まご/\すると打たれるから引外ひっぱずしたらよろけたので
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其のひまに横合から繼立の仁助が突然いきなり切り附けるを引外ひっぱずし、手元へ繰込んで仁助の刀を捻取ねじと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しずくの垂る処で一番綿帽子と向合おうという註文で、三日前からの申込を心得ておきながら、その間際に人の悪い紋床、畜生め、か何かで新道しんみち引外ひっぱずしたために、とうとうひげだらけで杯をしたとあって
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云って逃げにかゝる所へ如意で打ってかゝったからたまらんと存じまして、刄物で切ってかゝるのを、たんすわった坊さんだから少しも驚かず、刄物の光が眼の先へ見えたから引外ひっぱず
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また山之助の突掛つきかける所を引外ひっぱずして釣瓶形つるべがたの煙草盆を投付け、続いて湯呑茶碗を打付ぶッつけ小さい土瓶を取って投げる所を、横合よこあいからお繼が、親の敵覚悟をしろと突掛けるのを身をかわして利腕きゝうでを打つと
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)