小戻こもどり)” の例文
(はい、)といって、小戻こもどりをして、黒塀の板戸の角、鴨川勝手口とある処へ引返ひっかえしたが、何となくそのこうべを垂れた。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは、怪しからん。ふとすると先刻さっき遁失にげうせた悪漢わるもの小戻こもどりして、奪い取ったかも知れぬ、猶予する処でない。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かう買物かひもの出掛でかけるみちだ。中里町なかざとまちから寺町てらまちかうとする突當つきあたり交番かうばんひとだかりがしてるので通過とほりすぎてから小戻こもどりをして、立停たちどまつて、すこはなれたところ振返ふりかへつてた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小戻こもどりをしようとして、幹がくれにと覗いて、此方こなたをばじっる時、俯目ふしめになった。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)