小出こいで)” の例文
我が越後にも化石渓あり、魚沼郡うをぬまこほり小出こいでざい羽川はかはといふたに水へかひこくさりたるをながししが一夜にして石にくわしたりと友人いうじん葵亭翁きていをうがかたられき。
「今から十余年まえに、江戸屋敷で小出こいで小十郎という者が切腹して死んだ、あれは岡崎でもかなり評判になったから知っているだろう」
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
十時十八分に小千谷おぢや駅に達する、そこから人力車または馬車で約五里を行くと小出こいで町である、小出から爪先上りとなって約三里を行くと
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
先生はさようににぎやかな囃子が、私の心に始まっているとは知らないから、無遠慮にも次の問題を小出こいでと言って、しばしば難題を吹きかけるのであった。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
それは前年の夏、兄や賀古かこ氏が、小出こいで大口おおぐち、佐佐木氏等を浜町はまちょうの常磐にお招きして、時代に相応した歌学を研究するために一会を起そうという相談をしたのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
わっしは能登の小出こいでヶ崎で生れて十の時に、越後の三条にある包丁鍛冶ほうちょうかじへ、ふいご吹きの小僧にやられ、十四でそこを飛びだしてから、碓氷峠うすいとうげの荷物かつぎやら、宿屋の風呂
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの酔漢よっぱらい丸山本妙寺まるやまほんみょうじ中屋敷に住む人で、元は小出こいで様の御家来であったが、身持みもちが悪く、酒色しゅしょくふけり、折々おり/\抜刀すっぱぬきなどして人をおどかし乱暴を働いて市中しちゅう横行おうぎょうし、或時あるときは料理屋へあがり込み
と歌つた小出こいでの林は、その頃から既に伐採されて、楢や櫟の木が無慘に伐られ、白日の下に生生なまなましい切株を見せて居たが、今では全く開拓されて、市外の遊園地に通ずる自動車の道路となつてる。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
始め松平まつだひら左近將監酒井さかゐ讃岐守戸田とだ山城守水野みづの和泉守若年寄わかどしよりには水野みづの壹岐守本多ほんだ伊豫守太田おほた備中守松平左京太夫御側御用人には石川いしかは近江守寺社じしや奉行には黒田くろだ豐前守小出こいで信濃守土岐とき丹後守井上ゐのうへ河内守大目附おほめつけには松平相摸守奧津おきつ能登守上田うへだ周防守有馬ありま出羽守町奉行には大岡越前守諏訪すは美濃守御勘定ごかんぢやう奉行には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我が越後にも化石渓あり、魚沼郡うをぬまこほり小出こいでざい羽川はかはといふたに水へかひこくさりたるをながししが一夜にして石にくわしたりと友人いうじん葵亭翁きていをうがかたられき。
葉川村は越後のくに小出こいでの郊外で、越後街道に面し、また会津若松へ通ずる六十里越えの山道が、うしろにのびていた。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
自分が小出こいで町へ遊びに行った時に、三魚沼うおぬまは深山地であるが、何という山が一番に高いかと、郡役所の書記をしておられた小島という人に聞くと、先年参謀本部の役人が調査されて
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
あとに残した三好武蔵守、小出こいで播磨はりま守などへも
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小出こいでの林を歩きし昔。
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)