“孤影（こえい）” の例文
そこで一つ広く人情風俗に通じるため近々孤影（こえい）飄然（ひょうぜん）日本全国遊覧の旅途（りょと）に上（のぼ）る積りだ。先刻（さっき）からイヨ／＼やると言っているのはこの旅行のことさ
ぐうたら道中記 (新字新仮名) ／ 佐々木邦(著)
さらにまた、その音（ね）をもとめるような一点（てん）の孤影（こえい）が大空をめぐっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
嶺（みね）あり、天（てん）を遮（さへぎ）り、關（せき）あり、地（ち）を鎖（とざ）し、馬（うま）前（すゝ）まず、——馬（うま）前（すゝ）まず。——孤影（こえい）雪（ゆき）に碎（くだ）けて濛々（もう／＼）たる中（なか）に、唯（と）見（み）れば一簇（いつそう）の雲（くも）の霏々（ひゝ）として薄（うす）く紅（くれなゐ）なるあり。風（かぜ）に漂（たゞよ）うて横（よこ）ざまに吹（ふ）き到（いた）る。日（ひ）は暮（く）れぬ。
花間文字 (旧字旧仮名) ／ 泉鏡花(著)