妖姫ようき)” の例文
したたるばかりの森影に、この妖姫ようきの住める美しの池はさざなみを立てて、じゃくとして声なき自然の万象をこの鏡中きょうちゅうに映じている。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
則天武后だの呂后ろごうだの、褒似ほうじだの妲妃だっきだのというような、女傑や妖姫ようきの歴史を見れば、すぐ頷かれることだからね。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ダミアンティやシャクンタラのような妖姫ようきがサーヴするかと思わせるのもおもしろい。
カメラをさげて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
稜錐塔ピラミッドの空をく所、獅身女スフィンクスの砂を抱く所、長河ちょうが鰐魚がくぎょを蔵する所、二千年の昔妖姫ようきクレオパトラの安図尼アントニイと相擁して、駝鳥だちょう翣箑しょうしょうに軽く玉肌ぎょっきを払える所、は好画題であるまた好詩料である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ああ真に一代の妖姫ようきジュリア!
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)