大海嘯おおつなみ)” の例文
遂に六億万年前の古世代までやって来ると……ドウダ……天地をくつがえす大噴火、大雷雨、大海嘯おおつなみ、大地震の火煙ひけむり、水けむり、土煙つちけむり
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは、東京の深川本所に大海嘯おおつなみを起して、多くの人命を奪ったばかりでなく、湘南しょうなん各地の別荘にも、可なりヒドイ惨害さんがいこうむらせたのであった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
大震災大海嘯おおつなみが起こり、有史以来の惨状を呈したので、死者二万八千余人と註せられるが、その記念かたみに残されたものが、この九十九島であるとすれば
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
さて只今ただいま申上もうしあげました不図ふととした動機どうきというのは、とし三浦みうら海岸かいがんおそった大海嘯おおつなみなのでございました。
沖縄では昔からシガリナミ(海嘯)の記憶が強いためか、この話が大海嘯おおつなみに結びついて残っている。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのたいそうな大船に押しまくられた大浪おおなみが、しまいには大きな、すさまじい大海嘯おおつなみとなって、これから皇后がご征伐になろうとする、今の朝鮮ちょうせんの一部分の新羅しらぎの国へ
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その年の春、ひどい海底地震が相模湾さがみわん沖合おきあいに起り、引続いて大海嘯おおつなみが一帯の海岸を襲った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
布哇ハワイのれいの後援者パトロンの漁場が大海嘯おおつなみにやられ、一夜にして彼自身も無一文になってしまった。不本意ながら、援助が出来なくなったといってきた。寝耳に水とは真にこのことだ。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それでは東北に大海嘯おおつなみがあったため三万の人が亡くなったというのだね、まあまあ近辺でなくて僥倖しあわせだった、何百里とあるのだから、とんとさしさわりがなくて安心というものだ。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
空には清光せいこうのある夏の月が出て、その光に染められた海は広びろと蒼白あおじろひろがりを持って静かにたたえ、数日ぜん大海嘯おおつなみを起して、数万の人畜の生命を奪った恐ろしい海とは見えなかった。
月光の下 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
必然的に銀暴落の大海嘯おおつなみが全土を襲ったのだ。そのことは弱小資本主義にたいする、巨大な金融資本主義の侵略に過ぎなかったが、このことは銀本位の貨幣制度に永遠の絶望をあたえた。
新種族ノラ (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
大抵の蒸気船や水雷艇ぐらいは跳ね散らかされてしまう。岸近くであったら大海嘯おおつなみが起ります。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
清の弟に福二という人は海岸の田の浜へ婿むこに行きたるが、先年の大海嘯おおつなみに遭いて妻と子とを失い、生き残りたる二人の子とともにもとの屋敷の地に小屋を掛けて一年ばかりありき。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
六十六、三浦を襲った大海嘯おおつなみ
もしくは世持役のふんする神さまは小浜ではニロウ神といい、また明和めいわ大海嘯おおつなみの後に、新城あらぐすくの島から移住を命ぜられてきた石垣島南岸の宮良みやらの村では、神を代表して家々を訪れる仮装の若者を
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ありがたや……とキョロキョロチョロチョロと駈けまわる間もなく、今度は世界が消え失せるばかりの大地震、大噴火、大海嘯おおつなみが四方八方から渦巻き起る。海は湯のように沸き返って逃込む処もない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)