多言たげん)” の例文
久保田万太郎くぼたまんたろう これも多言たげんを加ふるを待たず。やはり僕が議論を吹つかければ、忽ち敬して遠ざくる所は室生と同工異曲なり。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これにてつみ成立せいりつし、だいくわい以後いごはそのつみによりていかなる「ばつ精神的せいしんてきばつ心中しんちうおに穿うがでゝます/\せいます/\めうなり。多言たげんするをこのまず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
またかしましく多言たげんするなかれ、みだりに外出するなかれというも、男女共にその程度を過ぐるはむべきことにあらず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
決して女子は勇気なくともよいというのではないが、女子の強きところは耐忍たいにんにありとせば、男子の特長は猛進的もうしんてきなる奮闘ふんとうの力にある。このことを論ずるには多言たげんを要せぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
多言たげんは要しますまい。手前の態度をもって、武士らしく、お覚悟あっては如何ですな」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土噐どきの形状紋樣もんように至つては多言たげんを要せず、實物じつぶつを見たる人はさらなり、第七回の挿圖さしづのみを見たる人も、未開みかいの人民が如何にしてく迄に美事みごとなるものを作り出せしかと意外いぐわいの感をいだくならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)