外廓がいかく)” の例文
その外廓がいかくは、こう軍艦の形にして、船の側の穴の処に眼鏡をめたので、容堂公のを模して足らないのを駒形の眼鏡屋がりました。
……かくてその日のれがたには外廓がいかくの諸塁がことごとく陥落し、まったくはだか城となった高天神をとり囲んで武田軍は包囲の陣をいた。
石ころ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それから株や何かで暮らしている両親たちの生活の外廓がいかくを、彼女なりの観察の仕方で話しながら、煮立っている鳥には、ろくろくはしもつけなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
司令艇の側壁そくへきの一部が、するすると動きだしたと思うと、それは引戸のように艇の外廓がいかくのなかにかくれ、あとに細長い楕円形だえんけいの穴がぽっかりとあいた。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分達は何だか市の外廓がいかくらしいさむしい土塀どべいつづきの狭い町を曲って、二三度停留所を通り越したのち、高い石垣の下にあるほりを見た。濠の中にははすが一面に青い葉を浮べていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人穴城ひとあなじょうという外廓がいかくは焼けおちたが、中身なかみ魔人まじんどもはのこらず逃亡してしまった。丹羽昌仙にわしょうせん吹針ふきばり蚕婆かいこばばあ穴山残党あなやまざんとう佐分利さぶり足助あすけともがらにいたるまで、みな間道かんどうから抜けだした形跡けいせき
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外廓がいかくのその煉瓦と、角邸かどやしきの亜鉛塀とが向合って、道の幅がぎしりと狭い。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あのきみょうな放電現象によって、本艇の外廓がいかくのうえには、黒いペンキのようなものが塗られた。そのために外が見えなくなった。この考えはどうですか
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
外廓がいかくから手繰たぐってゆくのも案外おもしろいかも知れない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次々と甲州の外廓がいかくを攻めつぶして進んだ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)