壁側かべぎわ)” の例文
ミスラ君はうしろを振返って、壁側かべぎわの書棚を眺めましたが、やがてその方へ手をさし伸ばして、招くように指を動かすと、今度は書棚に並んでいた書物が一冊ずつ動き出して
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ミスラ君の部屋は質素な西洋間で、まん中にテエブルが一つ、壁側かべぎわに手ごろな書棚が一つ、それから窓の前に机が一つ——ほかにはただ我々の腰をかける、椅子が並んでいるだけです。
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すると電燈の薄暗い壁側かべぎわのベンチに坐っていた、背の高い背広の男が一人、太いとうつえを引きずりながら、のそのそ陳の側へ歩み寄った。そうして闊達かったつに鳥打帽を脱ぐと、声だけは低く挨拶あいさつをした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
房子はようやく気軽そうに、壁側かべぎわ籐椅子とういすから身を起した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)